税理士・士業のホームページに料金は載せるべき?
「案件ごとに違うから、料金は載せられない」。士業の事務所でよく聞く声です。金額を言い切らずに、相談する人の不安を減らす料金ページの作り方を、例文とあわせて紹介します。
税理士や行政書士、社会保険労務士などの事務所では、ホームページに料金を載せるかどうかで迷うことが多いようです。仕事の内容は依頼ごとに違い、売上の規模や書類の量で手間も変わります。「一つの金額を書くと、かえって誤解される」と感じるのは自然なことです。
この記事では、それでも料金を載せたほうがよい理由と、金額が条件で変わる場合の書き方を紹介します。相談料の示し方、ほかの事務所と比べられることへの考え方、誤解を招かない言葉選びまで、そのまま使える例文を交えてまとめました。
料金を載せたほうがよい理由
士業に相談しようとする人の多くは、初めて専門家に頼む人です。何にいくらかかるのか見当がつかないまま、電話をかけたりフォームを送ったりするのは、思っている以上に勇気がいります。
- 問い合わせる前の不安が減る。「頼めない金額だったらどうしよう」という心配が、最初の一歩を止めています
- 予算の合わない問い合わせが減り、お互いの時間を無駄にしにくくなる
- 初回の相談で、料金の説明から始めなくてよくなり、本題に時間を使える
- 料金の考え方を書くこと自体が、事務所の誠実さを伝える材料になる
反対に、料金を一切載せない場合は「高そう」「聞きにくい」と受け取られやすくなります。紹介で来る人が中心の事務所でも、紹介された人は事前にホームページを確かめます。そのときに目安が分かると、相談の予約まで進みやすくなります。
金額が条件で変わるときの書き方
一つの金額で言い切れない場合は、「目安」と「金額が変わる条件」をセットで書きます。読む人は、自分がどのあたりに当てはまるかを考えられれば十分です。
1. 依頼の種類ごとに「〇〇円〜」で示す
まず、よくある依頼をいくつかの種類に分けます。税理士事務所なら「個人の確定申告」「法人の顧問契約」「相続の申告」のように、相談する人の言葉で分けるのがコツです。それぞれに「〇〇円〜」と最低限の目安を載せます。
2. 金額が変わる条件を並べる
「〜」の先がどう決まるのかを、条件として書きます。たとえば次のような書き方です。
| 依頼の種類 | 目安 | 金額が変わる主な条件 |
|---|---|---|
| 個人の確定申告 | 〇〇円〜(税込) | 収入の種類の数、帳簿をご自身で付けているか、医療費控除などの有無 |
| 法人の顧問契約(月額) | 〇〇円〜(税込) | 年間の売上の規模、記帳をどちらが行うか、面談の頻度 |
| 決算・申告(年1回) | 〇〇円〜(税込) | 取引の量、従業員の人数、消費税の申告の有無 |
条件を書くと、読む人は「うちは帳簿を自分で付けているから、目安に近いかもしれない」と見当をつけられます。表の見せ方そのものは、料金表の見せ方でも詳しく紹介しています。
3. 正式な見積もりのタイミングを書く
目安の下に、正式な金額をいつ出すのかを添えます。
例文
上記は目安です。正式なお見積もりは、初回のご相談で内容を伺ったあとにお出しします。お見積もりをご覧になってから、ご依頼いただくかどうかを決めていただけます。
「見積もりを見てから決められる」と書いておくだけで、相談のハードルは大きく下がります。
相談料の示し方
相談料は、料金の中でも特に気にされる項目です。有料か無料か、どちらにしても明確に書きましょう。
- 無料の場合:「初回のご相談(〇分程度)は無料です」のように、回数と時間の目安を書きます。2回目以降の扱いも添えると親切です
- 有料の場合:「ご相談料 〇〇円(税込)/〇分」と書き、ご依頼いただいた場合に報酬に含めるかどうかも書きます
- オンライン相談や出張相談で料金が変わる場合は、分けて書きます
相談の申し込みフォームの近くにも、相談料の一文を置いておきましょう。料金ページを見ずに申し込む人もいるためです。フォームの項目の考え方は問い合わせフォームのコツが参考になります。
あわせて、価格は税込か税抜かを必ず書きます。個人のお客さまに向けた価格は、税込の総額で示すのが基本です。
消費税の総額表示については、国税庁の案内をご確認ください。
ほかの事務所と比べられることへの考え方
料金を載せると、ほかの事務所と比べられるのではと心配する方もいます。実際、相談する人は複数の事務所を見比べます。ただ、比べる材料は金額だけではありません。
安さで選ぶ人は、どのみち金額で比べます。料金を載せないことで避けられるのは、比べられることではなく、比べる候補に入ることのほうです。そこで、金額と一緒に「その金額で何をするのか」を書くことをおすすめします。
- 料金に含まれる作業(記帳の確認、申告書の作成、電子申告など)
- 含まれない作業と、その場合の扱い
- 連絡の手段と、返信の目安
- 面談の回数や、担当者が変わるかどうか
同じ「〇〇円〜」でも、含まれる内容がはっきりしている事務所のほうが、安心して選ばれます。ほかの事務所と比べて「最安」「業界一」のような言葉を使うのは避けましょう。根拠を示しにくく、所属する会の決まりに触れるおそれもあります。
結果を約束しない表現にする
料金のページでは、「この金額でこんな結果が得られる」と受け取られる書き方をしないことが大切です。結果は、相談する人の状況や、行政の判断で変わります。
| 避けたい書き方 | 言い換えの例 |
|---|---|
| この料金で必ず節税できます | ご状況に合わせて、使える制度を一緒に確認します |
| 許可が取れなければ全額返金 | 申請の見通しは、初回のご相談で率直にお伝えします |
| どこよりも安く対応します | 料金に含まれる内容を、事前にすべてご説明します |
言い換えの例はどれも、事務所ができること(説明・確認・見通しを伝える)を書いています。約束できないことは書かず、約束できることを具体的に書く、という考え方です。
広告や報酬の表示に関する決まりは、士業の種類や所属する会によって違います。具体的な表現は、ご自身が所属する会の規則や案内をご確認ください。
よくある質問
料金を載せたら、その金額で受けなければいけませんか?
「目安」であることと、金額が変わる条件、正式な見積もりのタイミングを書いておけば、内容に応じて見積もりを出す形にできます。ただし、目安と大きくかけ離れた見積もりが続くと信頼を損ねるので、実際の金額に近い目安を載せましょう。
料金を改定したときは、どうすればいいですか?
料金ページを直したうえで、いつから新しい料金になるのかをお知らせ欄にも載せます。すでに契約している方への扱いは、ページとは別にご案内するのが丁寧です。
個別の金額は載せず、考え方だけ書くのはどうですか?
考え方だけでも、何も書かないよりは安心につながります。ただ、読む人が知りたいのは「だいたいいくらか」です。代表的な依頼の一つだけでも、目安の金額を載せることをおすすめします。
まとめ
士業の料金は、一つの金額で言い切れなくても載せられます。依頼の種類ごとの目安、金額が変わる条件、正式な見積もりのタイミング、相談料の扱い。この4つがそろえば、相談する人は自分の場合を想像でき、安心して問い合わせられます。比べられることを恐れるより、料金に含まれる内容と、約束できることを具体的に書きましょう。
士業の事務所のサイト全体で載せたい内容は、税理士・士業のホームページ制作のページでも紹介しています。Avrencal では、料金の見せ方を含めたページの構成を一緒に考えます。